2017年11月30日

こんにちは!
店長です。

今回の記事では、ベタの繁殖方法についてご説明します。
ベタの繁殖にはこれが正解というものは無く様々な方法があります。
今回店長が紹介する方法も1つの例として参考にしてみて下さい。




ベタを繁殖する上で注意する事

数がいっきに増える

ベタの繁殖に成功すると、数十匹~上手くいくと100匹以上の稚魚が産まれます。それは嬉しい事ですが、同時にそれだけのベタを面倒みる事ができるかちゃんと考える必要があります。100匹単位のベタを飼育する事はなかなか大変な事です。繁殖させる場合はそういった事をしっかりと理解した上で行うようにしましょう。

そんなにたくさん飼育できないなという場合は、事前に引き取ってくれるお店を探すのも一つの手です。近くにアクアショップがある場合は相談してみましょう。

親魚は短命になる可能性がある

ベタにとって繁殖はとても体力を使う行為です。
繁殖の成功、しないに関わらず親魚は短命になってしまう可能性がある事も頭に入れておいて下さい。また、相性の悪いペアの場合、オスがメスを攻撃し、メスが傷ついたり最悪死んでしまう可能性もあります。繁殖を行う際は、放置せず定期的に様子を見てあげる事も大事な事です。

ベタの繁殖に挑戦!

それでは、順を追ってベタの繁殖方法について説明していきたいと思います。

準備するもの

水槽

ベタは小型の水槽やビンで飼育している方が多いかもしれませんが、繁殖の際は少し大きめの水槽を用意しましょう。最低でも30~40cmぐらいの水槽が望ましいです。水量でいうと10~15Lほどになります。ちなみに店長のお店では45cmの水槽で繁殖させています。

水流を嫌うので、エアーレーションやフィルター類を設置している場合は弱くするか、水草などでガードし水流を弱くするなどの対策をしましょう。むしろ無くてもいいです。店長のお店では器具類は、ヒーターのみでその他は何も付けていません。

保温器具

通常ベタを飼育する際の温度は25℃前後ですが、繁殖を行う際は27~28℃と若干高めに設定しましょう。サーモスタットで設定温度を変更できるヒーターがベストです。

水草

詳細は後ほど説明しますが、繁殖の際オスは水面に卵を産卵する為の泡巣を作ります。泡巣の土台にしやすいよう、浮草や有茎水草の頂芽を水面に出るよう設置しましょう。マツモやカボンバ、アナカリスといった水草は丈夫で初心者の方にもおススメの水草です。水草の代わりに小さく切った発砲スチロールを浮かすという方法もあります。

メスの避難場所を確保

オス、メスを混泳させた場合、はじめはオスがメスを追いかけ回す場合が多々あります。オスに追われたメスが身を隠す為の、避難場所として、流木やポット、水草を密に入れてあげましょう。

マジックリーフ

こちらはできればで結構ですが、マジックリーフを入れる事でより自然の水質に変化させる事ができます。マジックリーフからタンニンが染み出し茶色の水に変色しますが、これはブラックウォーターといい除菌効果や水質をベタが好む弱酸性の軟水に変化させる効果があり病気の予防にもなります。お値段的にも決して高いものではないので是非検討してあげて下さい。

オス・メスを用意する

ベタには種類(ハーフムーン、プラカット、クラウンテール、ジャイアント等々)がありますが、初心者の方はできる限り同じ種類のオス、メスで繁殖するようにしましょう。

決して繁殖できないというわけではなく、違う種類のベタをかけ合わせて新しいタイプのベタを作ったりもしますがそれは上級者向きです。中途半端な形状のベタが産まれたり、せっかくの互いの特徴が消えてしまったりする場合もある為、慣れるまでは同じ種類のベタで繁殖させる事をおススメします。

オスの選び方

ベタは通常4~5か月程で成魚となります。繁殖させる場合は十分に成熟したオスを選ぶようにしましょう。また、オスは通常個別に飼育していると思いますが、その水槽の中で既に泡巣を吹いているような個体がベストです。

泡巣とは、水面にできた泡の塊の事でオスが空気を吐き出して作ります。産卵の際に卵を産む場所にもなります。この泡巣の有無が、発情しているオスの目安にもなります。

↓の画像は少し小さいですがこれが泡巣です。産卵させる為には、小さくても最低500円玉ぐらいの泡巣が必要です。ご覧の通り、浮き草を入れる事で泡巣の土台になります。

メスの選び方

メスも同様に成熟したメスを選ぶようにしましょう。
腹部がパンパン張って大きく、卵巣が白く透けて見えるような個体がベストです。また、お尻のあたりに見える白い産卵管が1mmほど出ているところで成熟具合を確認する事もできます。

 

具体的な繁殖手順

お見合い

水槽などのセッティングができたら、ようやく繁殖の開始です。
ここで注意して欲しいのがいきなりオスメスを混泳させないで下さい。まずは、オスだけ水槽に放して下さい。そして、2~3日そっとしてあげて下さい。元々の水槽で泡巣を作っていたオスであれば、新しい環境に慣れるとまた泡巣を作ると思います。

泡巣ができればメスの登場になりますが、ここでもいきなりメスを放すのではなくお見合いをさせる事でお互いの反応をみます。方法としては、メスの入った瓶を水中に浮かべるという方法があります。

こんな感じです。
すると、メスを発見したオスは、エラやヒレを広げて威嚇しますが、より興奮して更に泡巣を大きくします。それをみたメスも発情し、腹部の卵巣部分に縞模様が出てきます。(ホワイトやイエロー系の個体では縞模様が出ない場合もあります。)

このお見合いをさせる事で、メス投入前に泡巣を作っていなかったオスの場合でもお見合いをきっかけに泡巣を作るというパターンもあります。

メスと混泳させる

この状態で、また2~3日様子をみた後、最低でも500円玉以上の大きさの泡巣が完成していれば、メスをそっと水槽内に放してあげて下さい。泡巣を作らない場合は、作るまでひたすら我慢です。1週間程経ってもオスが泡巣を作らない場合は、相性が悪いと判断し、ペアを変更するのが無難です。

メスを放した後は、大抵の場合オスがメスを追いかけ回し攻撃します。メスのヒレはボロボロになってしまいますが、産卵に至るまでに避けて通れない道なので心配になる気持ちをグッと抑え様子を見てあげて下さい。その内、メスが観念したかのようにオスに導かれ泡巣の下に移動し産卵に至ります。

ただし、オスが攻撃しすぎた為に最悪の場合、メスが死んでしまうというケースもあるので、2~3日程経っても産卵に至らない場合は繁殖を諦めお互いを隔離するようにしましょう。そこの判断が非常に難しい所です。。。

産卵

産卵行動は、オスがメスを抱くように巻き付き行われます。産卵された卵は、放心状態のメスの腹部からこぼれ落ち、それをオスが素早く口で拾い集め、泡巣に付着させます。この一連の行動を永遠と繰り返し、数百個の卵産みます。

やがて、産卵が終わるとオスはメスを追い払い泡巣の下に待機します。時折泡巣から落ちる卵を拾っては泡巣へ、拾っては泡巣へ運び、そうやって孵化するまで世話をし続けます。

産卵が終わったらメスは再びオスの攻撃を受けるので取り出してあげましょう。その際、泡巣を壊さないよう慎重に取り出してあげて下さいね。産卵後のメスは、産卵によるダメージやオスから受けた攻撃により傷ついている事が多く、その傷口から病気にかかりやすいです。隔離し、アグテンやスーマによる薬浴と塩を一つまみ入れゆっくり休ませてあげて下さい。

孵化

卵は通常2~3日で孵化します。
孵化したばかりの稚魚はとても小さく、よく見ると泡巣の下にぶら下がっている状態です。泳ぐこともできず、時折水槽の底に落ちていきます。その度、オスは口でくわえて泡巣に戻します。この献身的な育児はまさにイクメンです。人間のオスも見習わないといけませんね(笑)

この時期の稚魚は、まだエサを食べる事ができません。ヨークサックといいお腹に栄養を蓄えているのでエサは与えなくて大丈夫です。また、世話をしているオスベタには少量であればエサをあげてもかまいません。

2日ほどでぶら下がっていた稚魚も自由遊泳できるようになります。ここまでくれば、オスの役割も終了です。稚魚をすくわないようオスだけ取り出し、ゆっくり休ませてあげて下さい。

自由遊泳しはじめた稚魚は、同時にエサを探して食べるようになりますが、ベタの稚魚は他の魚に比べ非常に小さく、口も小さいので人口の飼料ではサイズが大きすぎて食べれません。インフゾリアという微生物を用意し与えて下さい。インフゾリアは、自然に沸く事が多いですが、確実に与えるためには、インフゾリアの卵を用意し孵化させるようにしましょう。

2~3日経つとサイズも多少大きくなり、ブラインシュリンプの幼生を食べる事ができるようになります。こちらもブラインシュリンプエッグという卵を乾燥させたものが市販されていますので、それを孵化させて与えます。ペットボトルやビンなどに塩水を入れ、水温25度程度にした状態で入れておくと1日で孵化します。できれば1日に2~3回はエサを与えるようにして下さい。

また、稚魚は水質の悪化に非常に弱いので食べ残したエサや糞は、スポイトなどでこまめに取り除いてあげて下さい。水換えは3日に1回、三分の一ほど換えるか、徐々に水を足す形で水質を維持するのが望ましいです。

2か月ほどで、オスメスの区別がついてくるかと思いますので、オスメスの選別を行い、オスは個別飼育するようにして下さい。

最後に

いかがだったでしょうか。
ベタの繁殖は、初心者の方でも比較的容易に行う事ができますが、はじめにもお伝えした通り、繁殖に成功すると数十匹~百匹単位の稚魚が産まれます。飼育者の責任としてしっかり最後まで面倒をみてあげて下さいね。

また、初めての繁殖は成功すると非常に感動的です。産まれてきた稚魚達も我が子のようにカワイイものです。是非この記事をご覧になったあなたもベタの繁殖挑戦してみて下さいね!