2017年10月15日

こんにちは!
店長です。

過去記事「ろ過とバクテリアについて」では初心者向けにかなり噛み砕いた形で、ざっくりとしたろ過についてご説明しましたが、今回の記事では更に詳しく掘り下げた形でご説明しようと思います。




水槽の立ち上げ=生物ろ過の構築

熱帯魚を飼育したいなと思ったらまず始めにやらなければいけないのが水槽の立ち上げです。水槽の立ち上げは、これから熱帯魚を飼育する上で、魚たちを安全に元気に、つまりは死なさないように飼育する為にとても重要な工程です。

水槽内の水質は、時間が経つにつれ日に日に悪化します。魚の排せつ物やエサの食べ残しなどから発生するアンモニアが原因です。それを分解しろ過してくれるバクテリアがいることは過去の記事でご紹介しました。それが生物ろ過です。つまりはバクテリアを繁殖させる(生物ろ過の構築)ことがイコール水槽の立ち上げです。

生物ろ過の仕組み

魚の排せつ物やエサの食べ残しからは目には見えませんがアンモニアが発生します。アンモニアはとても強い毒性を持っており魚にはとても有害な物質です。血中のヘモグロビンとアンモニアが結合し酸素を運べなくする為魚は死んでしまいます。

そこで登場するのがバクテリアです。詳しくはニトロソモナス属という種類になりますが、このバクテリアがアンモニアを分解してくれ、亜硝酸(NO2)という物質に変えます。しかし、この亜硝酸も強い毒性を持っています。そこでまたまた登場するのがバクテリアです。今度は、ニトロスピラ属という種類になりますが、このバクテリアは亜硝酸を硝酸(NO3)という物質に分解してくれます。

硝酸は、アンモニア、亜硝酸と比べると毒性は低い物質ですが、完全に無害というわけではないので、多く溜まってしまうとやはり魚は死んでしまいます。ちなみに、この硝酸は窒素分を多く含んでいる為、多いとコケの発生原因にもなります。

硝酸を更に無害な物質に分解してくれるバクテリアもいるのですが、通常の水槽ではなかなか発生させるのは難しい為、ここまでくると水換えが必要になります。これが生物ろ過の仕組みと、定期的な水換えが必要な理由です。

理想を言えば、毎日水換えする事ができればいいのですが、それは現実的に厳しいですよね。この生物ろ過が水槽内でしっかり構築する事ができていれば水換えの頻度を1~2週間に1回にする事ができるのです。これまでに説明した事を分かりやすく図にしたものが下記です。

出典:https://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n3728

バクテリアを発生させるには?

バクテリアを水槽内に発生させるにはどうしたらいいのか?バクテリアは空気中のホコリやゴミの中、魚や水草に付着しているので、水槽に水を入れておけば自然に水中で発生します。ですが、これだけだとバクテリアが繁殖定着するまで無茶苦茶時間がかかってしまうのでその他の方法もご紹介したいと思います。

①パイロットフィッシュを入れる

バクテリアは上で説明したように自然と増えますが、立ち上げたばかりの水槽にはバクテリアのエサが無い為、繁殖に時間がかかってしまいます。バクテリアは魚の排泄物や食べ残したエサを食べ物にし繁殖するのでパイロットフィッシュを入れましょう。直球で言うとパイロットフィッシュに糞を出してもらいそれをバクテリアのエサにするわけです。時期は、水槽を立ち上げ器具が正常に作動している状況で1週間程経った頃が目安です。1週間程経つと多少は水質が安定し、より安全に魚を入れる事ができます。

パイロットフィッシュとはそういう名前の魚の事ではなく、水質をチェックする為のテスト用の魚の事でメインの魚を入れる前の実験魚の事を指します。パイロットフィッシュは小型の魚で出来るだけ少ない数が望ましいです。魚が多過ぎると排泄物も増えアンモニア濃度が濃くなる為、バクテリアがまだ繁殖していない状態では水質を汚してしまう可能性が高くなります。

パイロットフィッシュの目安

パイロットフィッシュの数は水槽水量の1/10~1/5が目安です。
【例】
30cm水槽(水量12L)で2~3匹
45cm水槽(水量27L)で3~5匹
60cm水槽(水量55L)で5~10匹

具体的に説明すると、パイロットフィッシュを入れたばかりの頃はアンモニア濃度がだんだんと高くなり、やがてパイロットフィッシュが生きていけない濃度まで上昇するので0.2~0.3mg/L(0.2~0.3ppm)を目安に水換えをし濃度を下げて下さい。水換えは全て換えてしまうとせっかく増えたバクテリアがいなくなってしまうと為1/3程度にしましょう。

この工程を数日続けていくと、ニトロソモナス属のバクテリアが増えた影響でアンモニア濃度が下がり、亜硝酸濃度(NO2)が高くなります。亜硝酸濃度が高くなりすぎるとパイロットフィッシュが死んでしまうので、0.5mg/L(0.5ppm)を目安に水換えを行いましょう。水換えの量は同じく1/3程度です。

すると今度は、亜硝酸濃度が低くなり、硝酸濃度(NO3)が高くなってきます。ニトロスピラ属のバクテリアが増えてきた証拠です。

ここまできてようやく水槽の立ち上げは完了となります。通常ここまでの工程で1ヵ月ほどかかりますので気長に準備しましょう。

出典:https://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n3728

②エアレーションで酸素を送る

バクテリアは有害物質の分解や増殖する際に酸素をエネルギーとする細菌です。その為、酸素のある環境を好みますのでエアレーションなどで酸素を水中に供給してあげると繁殖も早くなります。
エアレーションとは水槽の中で、ブクブク空気を送っている機械の事です。

③市販のバクテリア剤を利用する

また、市販のバクテリア剤もあります。市販のバクテリア剤は自然にバクテリアを発生させるよりも早く水槽内にバクテリアを定着させる事ができるので新規の水槽の立ち上げにはとても便利です。が、市販のバクテリア剤を使用したからと言って必ずバクテリアが定着する訳ではないので一般的には自然に発生繁殖させたバクテリアがいいとされています。

地域によって気候や水質も変わるので、ろ過バクテリアも地域や環境によって適しているバクテリアが違っていたりします。そういう意味でも自然に発生したバクテリアがその水槽にとって一番適したバクテリアだといえます。

しかし、自然にバクテリアを発生させるには一般的には1か月程かかると言われておりとても時間がかかるので、自然に発生させるのも、市販のバクテリア剤を使用するのも一長一短ですね。。。

以下、おススメのバクテリア剤をご紹介するので水槽の立ち上げ時間をかけたくないという方は参考にしてみて下さい。